イラン:世界初の全国的なベーシックインカム導入寸前

http://www.basicincome.org/bien/pdf/Flash62.pdf

イランはベーシックインカムを導入する最初の国になろうとしています。この劇的な展開は、国際的な注目が小規模であったことと、ベーシックインカムの国際的なディスカッションが少なかったことという理由によるものです。

イランは、潜在的な燃料補助金の恐ろしく非効率的システムを廃止しようと試みています。世界の多くの石油を産出する国の一つとして、イラン政府は 一年に約70億ドルを原油輸出から得ますが、イラン政府の指導のもと、国有企業は多様な生産物を、ほとんどはガソリンですが、国際価格を遥かに下回る価格 で販売して、GDPの約30%にあたる、概算100億ドルを一年に失っています。このような、イラン国内の燃料消費の補助金制度のコストは、イランが海外 へ輸出する燃料によって得る収益を上回っています。

この補助金制度は、イラン国民が政府から受け取る主要な手当の一つであり、多くのイラン国民は、安い燃料とその他の商品に依存する形で成長を遂げ て来ました。 政府は、国民の痛手を弱めるための別のものを供給することなしには、補助金を廃止することができません。数年間の論争を経たのち、補助金からの撤退に向け て、唯一、現実的な代償の形態としてベーシックインカムが持ち上がってきました。

このようにして、裏口を通り、一般に国際的な論争で話し合われる争点をすり抜けて、ベーシックインカムはイランに到達しました。財源は、明かに非 効率的な補助金を省いたところから来ることになるでしょう。 お金は全ての人に行き渡らねばなりません。なぜならば、全ての人は補助金喪失の損害を被るでしょうし、国有企業を所有する等しい資格があるからです。お金 の目的は定められず、なぜなら政府は、目的が正確かどうかを確認する、必要な情報を収集する能力がないからです。

新法に従って、歳入の内の増収分の半分を他の行政サービスに使用し、他の半分の金額は直接、申請するすべてのひとびとの助成金として使用します。 完全な段階的導入の場合は、金額はひと月に1人60ドル(年にして720ドル)、もしくは、それ以上を供給する潜在的可能性があります。この見積もりは、 貧困ラインよりはるかに下回っていますが、しかし、これはとても重要な金額です。イランでは、一人当たりの年収が3500ドルであり、アラスカの一人当た りのGDP、42000ドルの10分の1以下です。7000万人近くが適格者になると思われるイランのベーシックインカムは、アラスカ配当を受け取る数の 100倍以上になります。二つの場所の生活コストの甚大な違いを考慮すると、イランでの720ドルのベーシックインカムは、アラスカ(US)に現在ある 1000〜2000ドルの配当よりも意義深いものでしょう。

現在の計画には欠点があります。すべてのイラン市民は助成金を得る資格がありますが、お金は世帯主に支払われ、そのほとんどは圧倒的に男性です。 従って、一部の男性が、かれらの妻、子供たち、そして扶養家族が、助成金を得られないようにする支配力を持つことになるかもしれません。また、イランに在 住する外国人(ほとんどがイラク、アフガンニスタン難民)は助成金を受け取ることができないにも関わらず、補助金の損失を他の住民と同程度に被ることにな るでしょう。

段階的導入は、2010年の9月と2011年の3月のあいだに始められる予定になっています。段階的導入がどの程度の期間かかるかは明確に示され ていません。法律はすでに通過しました。90%以上のイラン国民はすでに助成金を申請しています。しかし、イランの政治システムは混沌としており、いまだ なんらかの実質上の変化があるかもしれません。実際に行なわれるまで、私たちは正確に把握することができません。私たちにできるのは、ただ、成り行きを見 守ることです。

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