ムイさんへ

もう遠い遠い昔のような気がする。 僕は君が自殺した、と聞いていた。 だけど今、皆が君は殺されたのだと言っている。 恐らく君が一番言われたくないタイプの人たちが 君は殺されたのだと騒いでいる。 真実はいつか判るかもしれないし、 永遠にわからないかもしれない。 君が捉えて放さなかった真実は 今も闇の中だ。 君がいた頃とさして変わりがないんだ。 いや、さらに状況は悪化しているかもしれない。 真実を闇に葬るのが一部の人間だけではなくなっている。 事実と真実は以前にも増して溝を深めていて、 今、真実はよってたかって葬られることに慣れてしまった。 僕は君に感謝している。 君が殺されたのかもしれないということを 今さら知る事も含めて。 あるいは、それが自殺だったとしても。 僕は君の勇気に感謝している。 引き裂かれ続けながら、真実を捉えて放そうとしなかった 君と出会っていたということに。 でも本当は、こういうことだと思うんだ。 真実を捉え続けるとは、 引き裂かれ続けるということなんだね。ムイさん。

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